Phunは落書きのように作図して遊べる、2次元の物理シミュレータです。
解析等に使うような真面目なシミュレータというよりも、玩具として遊ぶために作られていて、楽しみながら物理を学ぶのに適しています。
ピタゴラそうちのようなものを作って遊ぶこともできます。実物だと一度作動させてしまうと元に戻すのが大変ですが、Phun上なら何度でも楽しめます。
玩具といってもそれなりにちゃんと動くので、静止図だけでは分かりづらい複雑なリンク機構を実際に動かして確認するのにも便利です。
試しに練習で、2つほどサンプルを作ってみました。
・ホーキンスリンク機構
初めてこれを見たときは衝撃を受けました。シンプルな構造で、回転運動が歩行ロボットの足運びに最適な動きに変化します。
直線的な動きで地面を蹴り、足を持ち上げたら素早く前に戻します。まさに歩行モーションそのものでしょう。黄色のパーツは一定速度で回転していますが、直線的な動きの部分の方が時間が長く、持ち上げて前に戻す部分が短いので、これで足を動かせば直線的な動きの部分で両足が接地している時間もできます。
ただし、この機構をロボットの足運びに使うには致命的な欠点があって、動画を見ても分かるとおり、足の動きと足の向きが逆です。歩行ロボットに使うにはこれを上下反転させないといけないのですが、そのための機構というのは結構大変で、実際にこの機構をロボットに応用している人の多くが逆向きのまま弧の部分で地面を蹴るように使っています。
ちなみに、私がこれを初めて知ったときは、チェビシェフリンクと紹介されていました。しかし、正確にはホーキンスリンクと言うようです。チェビシェフリンクは等速回転部分が、ホーキンスリンクの足先の軌跡を描きます。動きが同じなので、ホーキンスリンクはチェビシェフリンクの亜種として扱われているのかもしれません。
・楕円コンパス
楕円コンパスというのはいくつか方法があるのですが、その中でも構造が分かりやすいものを作ってみました。
こんなので奇麗な楕円が描けています。最後はご愛嬌w
実はPhunだけでこのような機構を作るのは難しいです。ホーキンスリンクは各リンクの長さが厳密に決まっているのですが、Phunは落書きのようにデザインすることを想定しているので、位置や大きさを厳密に調節する機能がありません。最初は、定規のようなものを作って目測でリンクを組んでみたのですが、ほんの僅かなズレでも直線的な動きにならずに駄目でした。
今回はSVG2Phun2という、SVG画像から変換するソフトを利用しました。元となるSVG画像はInkscapeで作成しました。
ニコニコ動画にもPhunの動画が沢山あるので、私が見た中で面白かったものをいくつか挙げておきます。
トイレのやつは作図段階から映っているので、どんな感じか分かりやすいと思います。うんたん機構学は、背景に注目です。チェビシェフリンクも出てきます。
こんなのが手軽に家のPCで遊べるってのは良い時代になったものです。


Phunのバージョンアップによる機能拡張(CSGやテクスチャ、カッターツール)によって、使用する機会の減ったツールですが、このように使用者の声が聞けるのは製作者として嬉しい限りです。